新日本歌人2015年1月号を読んで
「新日本歌人」2015年1月号を全て読んでの紹介です。
碓田のぼるさんの去年夏の松本での新日本歌人総会での講演「渡辺順三から学ぶこと受け継ぐこと(戦前編)」が参考になります。(なにせ文字起こしを私がやりましたので、、)
早乙女勝元さんの憲法随想「ゴマメの歯ぎしりでも」での戦争に教師として生徒を送り出したことを反省したお兄さんの憲法の平和主義を勝元さんに言った「これからは外交が大事」という言葉が印象的でした。
他にも論文があい、協会賞松野さとえさん、新人賞岩崎忠夫さん、新人賞長野洋子さん、啄木コンクール入賞三枝史生さんの2014年受賞者詠もあります。
以下大津留的10首選です。(今回は一行コメントも付けます)
戦争への道許さずと立つ署名この一時間こそ老いの生きがい
p38東京 中村美智子
(私もこういう「老いの生きがい」を持ちたいと思います。)
子を生めぬ若きが増えて介護も墓も大きく変わるこの国の今
p40 千葉 北沢真理子
(子どもの結婚問題や親や連れ合いの介護の問題は目下の大きな問題です)
清水の葬式は俺が仕切ると、
飲んで 大笑いー
頼むよといったのに。
p39 清水鉄次郎
(故渡辺洋一さんと清水さんはいいコンビだった。謹んで洋ちゃんの哀悼をお祈りします。)
辞めようかな
新日本歌人投稿の私の声
娘声を大にして
死ぬ迄続けるの!に
黙す
p62新保菅子
(老いては娘の言うことには従いましょう。)
「丁寧に説明する」
「粛々と進める」
空っぽの形容詞が
毎日踊る
だまくらかし政治
(「だまくらかし政治」を五行詩は厳しく追求する。「だまくらかし政治」は無くてもいい)
p62 高原伸夫
死ぬのにはまだまだ早い透析を受けてひたすらひたすら生きる
(生きる決意としての「ひたすら」のリフレインが新鮮だったので採った。)
p71 岐阜 田代川徹
白足袋の小鉤を外し内股に脱ぎてひとつの役目を了える
(他にも娘さんの結婚式のいい歌があるが直接結婚式を言わないこの歌が印象的だった。)
p72 福岡 田村柚
特選 面接の不首尾を託つやネクタイを一気に引き抜く就活スーツ
(これは上手いと思った。「ネクタイを一気に引き抜く」で全てを表現している。)
p72 大阪 辻井康祐
卒寿すぎし伯母に手紙を書いているアンがマリアにもの言うように
p75 長野洋子
(「赤毛のアン」を読んだ人にはよく分かる直喩だろう。読んでない人にも推測はつく。)
妻の腰われの背中と揉みあえば目をそらさずに猫の見ており
p77 広島 錦武志
(我が家でも同じ光景があるので共感した。我が家では犬も見ているが。 )
今年は毎月大津留的10首選をやりたいと思っています。
以上です。
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俳句は新俳句人連盟
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