学会では荒唐無稽過ぎて取り上げるに値しない(18学者の意見)
diamond onlineの「都構想」は大阪の衰退を決定づける“論外の代物”という藤井聡 [京都大学大学院教授]の記事から各学者の意見を紹介します。
http://diamond.jp/articles/-/71331
学術界では「大阪市を廃止して、5分割して、東京都のような都区制度を導入すれば、大阪は衰退していくだろう」という見解が圧倒的多数であるようだ。
例えば賛成派の学者は先月、大阪市内で、都構想のメリットを主張する記者会見を開いているが、参加した学者はたった2名。しかも両名とも大阪市の特別顧問経験者(上山信一・慶応大学教授、および、佐々木信夫・中央大学教授)で、それ以外の(大阪市との特別顧問関係を持たない)一般の学者は含まれていなかった由。
一方で藤井聰教授は4月末日、「大阪都構想の危険性を明らかにする学者記者会見~インフォームド・コンセントに基づく理性的な住民判断の支援に向けて~」を5月5日に開催するとして、さまざまな分野の学者に「都構想」についての所見を供出するよう、インターネット等を通して呼びかけた。賛成派の学者は先月、大阪市内で、都構想のメリットを主張する記者会見を開いているが、参加した学者はたった2名。しかも両名とも大阪市の特別顧問経験者(上山信一・慶応大学教授、および、佐々木信夫・中央大学教授)で、それ以外の(大阪市との特別顧問関係を持たない)一般の学者は含まれていなかったという。
では18学者の意見です。
1. 関西大学の鶴田廣巳教授(財政学)
「大阪都っていうのは本来これだけ注目されますと学会等でも取り上げられるかと思いますけれども、学会では全くですね、荒唐無稽過ぎて取り上げるに値しない。そういう代物だと言うことを是非、ご理解いただきたいと思います」
2.佐々木信夫・中央大学教授(大阪市の特別顧問経験者)
「都になれば成長するわけではない。東京が繁栄しているのは企業の本社機能が集まっているためで、都制という自治制度とは関係ない」と言明していたのである(日経2011年12月11日)。
3.遠藤宏一・大阪市立大学名誉教授(地方財政論)
「『大阪都』という行財政制度をつくれば、東京都に匹敵する経済力・行財政力になるというのは本末転倒した錯覚としか言いようがない」
4. 池上洋通・千葉大学(地方自治論)
「もともと東京都の特別区制は、憲法の『法の下の平等』原則に反する疑いがあり…なぜ『都』になりたいのか、全く理解できない」
5.今井良幸・中京大学准教授(憲法)
「『特別区』は憲法上の地方公共団体とは解されておらず、その制度的な根拠は立法政策に委ねられることになり、その存在は不安定なものである」
6.今村都南雄・中央大学名誉教授(行政学)
(大阪が)
「特別区になったその日から自治権拡充の闘いが始まることを覚悟しなければならない」
7.竹永三男・島根大学名誉教授(歴史学)
都区制度というものは、
「本質的には中央集権化の手段として出されたもの」
8.入江容子・愛知大学教授(地方自治論)
「
分権の流れに逆行」するもの。
9.紙野健二・名古屋大学教授(行政法)
「
東京都23区の多くは、数十万の人口を擁しているのに、市ではなく自治を大幅に制限されている」
10. 堀雅晴・立命館大学教授(行政学)
「
『大阪都構想』は…『特別区への格下げ』という“粗悪品”である」
11.木村收・阪南大学元教授(地方財政学)
「
大都市の活力を削ぎ、長期低迷を生む」
12.北山俊哉・関西学院大学
「
大阪都構想は…大阪府に…都市計画を任せてしまうものです。大阪市は府の3割しかなく、都市計画がうまく進むとは思えません」
13. 宮本憲一・元滋賀大学学長(財政学、都市経済学)
「
大阪地域は京都市や神戸市に比べて都市力や都市格ははるかに低いものになるであろう」
14.中山徹・奈良女子大学教授(都市計画学)
「
大阪都構想では大阪の活性化は望めず、破綻への道を歩むことになるだろう」
15.上山信一・慶応大学教授(大阪市の特別顧問経験者)
「
図書館が府と市で2つあって無駄だとか…けち臭い話…稼働率が高けりゃ置いとけばいいし、改善が進んでいる(府も市もあほじゃない)」(2011日10月26日ツイッター)
16. 森裕之・立命館大学教授(財政学)
「
大阪府市は特別区になった場合の財政シミュレーションを示しているが、再編効果には大阪市の事業の民営化(地下鉄・バスや一般廃棄物事業など)や『市政改革プラン』など、『大阪都構想』による二重行政の解消とは関係のないものが意図的に盛り込まれている。それらを差し引けば、純粋な再編効果は単年度でせいぜい2~3億円程度」
17.鶴田廣巳・関西大学教授(財政学)
「
大阪府と大阪市の二重行政が税金のムダづかいを生むというのが、『維新の会』が『大阪都構想』を主張する最大の根拠になっています。しかし、その主張には根拠がありません」
18.平岡和久・立命館大学教授(地方財政学)
「
道府県と政令市とのいわゆる『二重行政』については、多くの場合ほとんど問題になっていないことから、そもそも政令市を解体する理由にはならない」
藤井教授のまとめです。
以上、いかがだろうか。多くの読者にとって、本稿で述べた諸事実は、意外なものであったに違いない。
しかしそれは当たり前のことだ。そもそも学者というものは、一般世間の常識を疑い、事実と論理と理性に基づいて結論を導こうとするものなのだから、学者が言うことは常に一般の人々にとっては一見、意外なものに見えるのである。むしろ、政策項目を問わず政治的スローガンにすら一致するような当たり前の主張を繰り返す学者は、学者としての価値は低いとすら言えよう。
しかし、学者たちの論理は決して難しいものではない。以上に述べた事を丁寧にお読みいただければ、あるいは、その原文を丁寧に読めば、たやすくご理解いただけるはずだ。
いずれにせよ、(一部の大阪市特別顧問らを除けば)彼らの主張は、驚くほど一貫している。それはつまり、「大阪都構想など、論外だ」ということなのである。大阪市をつぶし、数多くの学者が一貫して批判し続けている都区制度に移行すれば、必然的に大阪は衰退する他ないのである。
彼らの主張(そしてそれは、筆者がこれまで著書『大阪都構想が日本を破壊する』で論じた主張と完全に軌を一にする主張だ)に是非、耳を傾けていただきたい。言うまでもなく今、大阪の「住民投票」にて求められているのは、特定政治家に対する好き嫌いやイメージやムードに基づく判断などでは断じてない。事実と論理に基づく理性による判断以外に、何も必要ないのである。
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5月17日はノーという日です。
そして橋下氏が大阪市長辞任表明をする日です。
以上です。
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