「新日本歌人」2015年5月号6月号10首選
新日本歌人協会の発行する雑誌「新日本歌人」2015年5 6月号 からの各10首選です。
今月は知り合いの歌を沢山とったかも知れません。
でもこれはあくまでも大津留公彦の個人的な10首選です。
何処へのどんな配慮もありません。
同じ人を毎月とっているかも知れませんがそういう配慮もありません。
でもいい歌をとっていると自分では満足しています。
20首にコメントを付けました。
ご意見頂ければ有難いです。
新日本歌人2015年5月号 10首選 大津留公彦
学校も郵便局もなき村の農協をつぶして何が「地方創生」か
P7 渡辺幹衛
→ 農村の怒りが直接伝わります。
一年経ち変わらぬままの長男の微笑む遺影を見詰め鉦打つ
P10 石山隆
→ 「遺影を見詰め鉦打つ」に石山さんの悲しみが凝縮されています
混迷の拡がる二十一世紀の中東か回想は今もやさし遠きテヘラン
P23 碓田のぼる
→碓田さんのイランの記憶は 今もやさしいというのがゆかしい
かたい土おしあげすみれの青深し国の岐路思いたたずむ庭に
P24 大川史香
→自然と社会が渾然一体となった秀歌。
今言わぬ者懲りもせずいつかまた戦争協力の歌作らんよ
P42 園田真弓
→歴史的な短歌の捉え方で歌人に檄を送っています。
ゆがんだりずれたりしつつ児は書きぬ親に貰いし唯一の名を
P46 田村柚
→子どもの様子がよく伝わります。「親に貰いし唯一の名」もいいですね。
営々と書き継がれきて三〇〇号「かいほう」千葉の歴史貴し
P74 長田裕子
→全国各地でこういう努力がなされている事を毎月「支部のいぶき」で感じます。
「平和賞」地に泣かしめてずるずるとオバマがブッシュに重なりてゆく
P76 奈良達雄
→共感する人も多いでしょう。
国民の成熟度こそがその国の憲法だという成熟の道を
P78 平塚澄子
→今国民の成熟度が問われています。
食すとは嚥下とそしゃくの筋力の二人三脚体の神秘
P80 細野清子
→体の不思議が人の命の不思議と繋がる。
特選には石山さんの歌を推します。
以上です。
新日本歌人2015年6月号 10首選
大津留公彦
眼差しも声もやさしくお襁褓かえ娘は手さぐりで母となりゆく
P2 大川史香愛媛
→娘と孫の成長を見ている母の視線が眩しい
本当に生きてますかと問われたり手を合わせいる順三の墓に
P4 折井澄江 東京
→ 墓参に入って「本当に生きてますか」と順三に問われたという感性が素晴らしい。
編み直し編み足して着せし子のセーターやはり捨てんと袋に詰める
P5 加来和江 福岡
→ 亡くなった息子さんのセーターを捨てざるを得ない境遇が哀しい。この息子さんは私の大学の同級生です。
梅咲けば八坂スミさん思い出すひと枝手折りて届けしかの日
P8 杵渕智子 東京
→ 八坂スミさんと交流のあった作者の思い出を作者と面識のない私がこの歌で少し共有しました
五千百三十八日の失語症のたたかい支え来し介護保険をなぜ外すのか
P35 滝沢紀子 東京
→ 十四年を失語症と付き合って来られた作者のいつも前向きな闘う姿勢に拍手
広げたる教え子の掌をなでおれば発音指導に泣きし日浮かぶ
P40 久米武郎 神奈川
→ きっと教師とはこんな風に泣く事の多い職業なのだろう。
遺品にと死者の小指を切断し名札付けしと従軍看護婦は
P41 堤智子 宮城
→ こういう体験を語れる人がもうすぐ居なくなる。戦後七十年の今年は語り部の話を聞くべき年でありこの歌は歴史を残した。
貝有る者が下心持ち司へ各贈るを賄賂と言えり
P66 奈良達雄
→ 奈良さんの今月の八首には脱帽した。全て漢字の独自の意味についての歌だ。
この試みは歴史的なものだろう。
リズム良き雨だれの音聞きながら明日はしっかり働こうと思う
P67 花野二美 徳島
→ どうも私の10首選にはこのひとの歌が入る傾向がある。平明な語り口の口語律の強みといえよう。
小さきものなべて愛し抱かるる児を見るたびにとろけそうで
P67 檜葉奈穂 北海道
→ 何のてらいもきらいもないちいさきものへの無条件の賛歌である。檜葉さんは小さきものを見るのが楽しみだが、私は檜葉さんの歌を読むのが楽しみである。
<ひろ子>とう吾が名は母がつけくれきペンネーム<蕉子>愛犬の名<寧寧 >も
P80 秋沼蕉子
→ 秋沼さんのお母さんも歌人であったが先頃お亡くなりになった。お母さんに貰った三つの名前を大事にしてほしい。
特選には加来さんの歌を推します。
以上です。
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小平さん
コメントありがとうございました。
仰せの如く歌とページ・作者を改行しました。
字の大きさは変えられないので太字にしました。
安倍首相のおかげで歌が出来て困ります。
投稿: 大津留公彦 | 2015年6月15日 (月) 23時32分
大津留さんこんにちは 愛知の小平です。
FBから辿ってきました。
ちらっと覗いただけですが、大変な発信力ですね!
せっかくご努力された10首選ですが、小さい文字ですし、歌とページ・作者が改行されておらず、正直読みにくくて、味わうところまで行きません。
ぜひ表示方法をご検討下さい。
投稿: 小平孝常 | 2015年6月15日 (月) 15時55分