小説「黄金と十字架」を読んだ(神を信じるものも信じないものも)
私の母は今年八十七歳となり由布市のグループホームにいるが今大分の病院に心不全と誤嚥性肺炎の治療の為に入院しています。
この正月に会いに行くが良くなって無事退院して欲しいと願っています。
母のいる病院はアルメイダ病院といい、フランシスコ・ザビエルの事業を継承して日本で布教を続けていた宣教師ルイス・デ・アルメイダが日本で最初に作った総合病院に因んで大分医師会によって作られた病院です。
私の友人である玄間太郎さんがこの度小説「黄金と十字架」を出版されました。
その中にザビエルの時代のクリスチャン殉教の物語が展開されている。
やや強引な前振りだがこの本の感想を書きます。
この小説は物語の構成がよく出来ています。
そして、当然物語はフィクションですが、歴史的な事柄と織り交ぜて展開するのであたかも歴史的事実のように非常にリアリティーがあります。
参考文献を見るとクリスチャン関係の先行する資料にはほぼ目を通されているようですのでそのリアリティーには根拠があるのでしょう。
そしてこの小説は佐渡、江戸、京都、長崎、島原と次々と舞台が移って展開します。
非常にビジュアル的です。映画にするといい作品になると思います。
玄間さんの小説では玄の字がつく人が必ず出て来ます。
今回その人は最後の方に出てくる京都の医家・中根玄歳です。
貴族や諸藩主の誘いに応じなかった彼は長崎に遊学に行くがそこで島原の乱が出て来ます。
多くの活動を三郷で共にする私は新潟や湯沢に足繁く通われていた玄間さんの姿を見ています。
信心組と言われるクリスチャンたちと黒鉱組と言われる金山の鉱夫たちの関係がこの小説のモチーフです。
「いま、神を信じるものも信じないものも 成すべきことを見すえ、手を握りあうときではないか。」というこの本の帯に書かれた台詞に現代への鋭い投げかけの問題意識が見られるのは当然でしょう。
小説の持つ意味を考えさせる好小説です。
玄間太郎さんはこの本で新潟県主催の第9回出版文化賞優秀賞を受賞されました。
玄間太郎さんを激励祝賀する会12月18日(金)18:00〜
をここで生中継します。
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