歌よみはもの言うなかれひたぶるに一首にいのちかけて死ぬべし
今日は九条歌人の会の短歌サロンで日野きくさんの森川平八についての話を聞いた。
森川平八とはこういう人である。
生年大正4(1915)年11月8日没年昭和63(1988)年2月28日
出生地東京
学歴〔年〕早稲田大学国文科〔昭和17年〕卒
経歴窪田空穂に師事し、「槻の木」入会。「まひる野」を経て、新日本歌人協会に参加、渡辺順三に師事する。「短詩形文学」同人。歌集「北に祈る」「地に描く」のほか、「短歌文法入門」などがある。
コトバンクより引用
日野さんの講演の後の感想で皆さんが挙げた歌を紹介しよう。
印象的だったのは歌集「北に祈る」のに収録されたシベリアの抑留体験の歌で、この歌などは極め付けのさむざむしい歌である。
その君が死んだら貰ってゆくと真剣に言う毛布なき友は
比較的晩年のこういう歌群れがある。
しり込みする己れむちうち壇に立つ軍拡阻止は裡ばる命ぞ
★今読まれるべき歌だろう。
わが脚で歩むほかなき残生と思えば親し舞う春の雪
★わが脚以外に歩むものはない。
ウイーンフィルの弦の合奏澄みわたりモツアルト響る何の涙ぞ
★これはモーツアルトの四十番ト短調だという
一番感銘を受けたのはこの歌です。
歌よみはもの言うなかれひたぶるに一首にいのちかけて死ぬべし
★歌人に理屈も大言壮語も要らない。
歌人は一首にいのちをかけるべしという事だろう。
窪田空穂の歌集「北に祈る」の序文の一部を歌人に紹介して終わります。
技巧に走る又は目新しさのみを追う歌人を思い起こしながら
「正直で、勤勉で、一本気で割り切らずにはいられず、したがって怒り易く喜び易い人である。そうした森川君が弱者といううち、珠に貧者対して深い同感を持ちひ、その延長として強者即ち富者に対して反感を持っているのは当然の成り行きである。」
「短歌芸術の根本的要諦はその人その時に身についている気分を純一無雑の態度で表現するところにある。これは動かし難いものである。もし新しい思念を加えようと思うならば、その思念の熟して自分の気分に化する日を待たねばならない。その関係は新しい命が母の胎内で丁度な発育をまたなければならないのと酷似する。それを待つことを怠ると、勢い技巧にすがることとなり、情熱の少ないものとなってゆく。抒情詩の読者に訴えるものは情熱で、情熱は魅力の別名である。私は森川君の帰還後の歌を読み、この点についての一考をもとめずにはいられない感を起こした」
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九条歌人の会の短歌サロンは奇数月の第三土曜日に行われております。
場所は喫茶店パンドラです。
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-8-1
TEL:03-3553-7487
次回は3月19日(土)14時中西洋子さんによる柳原白蓮についてのお話があります。
5月21日は片山洋子さんについての話があります。
以上です。
9月25日の北海道新聞に掲載されました。三次募集の選をしました
9月13日の東京新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH9H5WG2H9HUTIL04Y.html">9月17日の朝日新聞 に掲載されました。
三次募集電子出版:戦争にNOの声あげデモにいく 19の吾娘は立派に育つ
二次募集電子出版:血に染めし父の記憶や晩夏光
一次募集電子出版:軍服を着せる為なら子は産まぬ
(戦争法案に反対!575&57577)
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