本田幸世さんの歌集「地の星」を読んだ
我が新日本歌人我孫子支部・湖畔短歌会の歌友である本田幸世さんの第一歌集「地の星」を読んだ。
福島の放射線事故による被害によるごみ焼却場からの焼却灰の一時保管場所を我孫子市と印西市の境界線上にまたがる地域を保管場所とすることへの反対運動を行い持ち帰らせた運動を担った本田さんの、そのことを読んだ短歌から始まり放射線廃棄物処分場反対運動、菜園作り、家族のこと、旅行詠、その他を詠まれている。
あとがきで書かれているように母と祖母の影響で文学少女育ち、その後も読書を続けその豊富な語彙でいい歌をたくさん作られている。
その中から315首を選び逆編年体でこの歌集を編まれました。
以下項目別に歌を簡単な説明★を付けて紹介します。
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放射線廃棄物処分場反対運動
フクシマの女はかなし みずからを「鬼なるぞ」とて面着けて行く
★「鬼なるぞ」がつらい
突然の搬入あれば声挙げて炎暑の真昼を一歩も退かず
★逞しい非暴力の実力行動である。
ヒルガオも赤詰草も咲き見張りいる目にも沁み来る羞しきくれない
★処分場反対運動の見張り時にも本田さんの目は鋭い感性で自然に注がれている。
社会詠であり且つ自然詠であり、いい歌だと思います。
菜園作り
退職金で墓を買うという夫を説き九十坪の菜園あがなう
★こうして菜園作りが始まったということを知った。
植え付けし馬鈴薯の芽は伸びいるか土のささめき足裏に聞く
★「土のささめき足裏に聞く」のは農民の心だろう。
青びかる地の星となり畑隅にまろかに眠る早春の蜥蜴よ
★歌集の題となった歌である。
家族のこと
枕くことの無くなりてより目醒めたる君への想いに手のひら重ね
★夫君は幸せである。
貧窮の人らの味方になると子は溜めきし思いを迸らせる
★本田さんは素晴らしいお子さんを育てた。社会派弁護士がこの後の時代をリードしていくことだろう。
旅行詠
飾り瓦の江戸店風の呉服屋に白足袋あがなう子の婚のため
★我孫子支部で流山の吟行会に行った時の歌である。新川屋という呉服屋で買われたのを見ていた。
館跡に見はるかしつつ故郷を語る歌友の声昂ぶりゆけり
★ふるさと巡りで栗駒山に行ったときの歌である。この歌友とはしばらくお会いしていない。
その他の歌
心ならず退会せしがふたたびを心踊りて歌会にいる
★本田さんは一度歌会を離れてまた戻って来られた。
その時にまた本田さんのいい歌を味わう事が出来てよかったと思った。
振り向けばわが裡の野に少女居て駆けてくるなり頬赤くして
★こういう思いは自分にもあった。表現が見事である。
われ亡きのち黄灯るらん棘ばかり荒々太る柚子の大馬鹿
★不思議な歌である。
はっきり言ってこの歌を作られた思いはよく分からないだ非常にインパクトのある歌だと思った。
以上です。
一読をお勧めします。(申し込みは著者または本ブログのメール送信で)
ご参考
朝日新聞 2016年5月19日
千葉)放射能汚染問題を直視 我孫子の本田さんが歌集
いりの舎
「新日本歌人」「合歓」に所属し、自然を愛する著者の315首を収めた第一歌集。
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