紅林進さんの「民主制の下での社会主義的変革」を読んだ。
紅林進さんの「民主制の下での社会主義的変革」を読んだ。
これは氏の初めての著書であり過去雑誌等に掲載されたものと書き下ろしの文章がある。
最初に置かれている「社会主義社会をどうのように構想し実現するか」という書き下ろしの論文は、現在の社会で社会主義をどう実現するかという構想と道筋が書かれている。
勿論マルクスなどの先人の考えをベースにしながら、新たに出てきているビビッドな状況や理論で社会主義を考察している好論考である。
そのほかにも多くの論考があるが、私の知らなかったスペインのモンドラゴン協同組合の経験は日本で今後出て来る可能性がある企業形態であり、非常に参考になった。
日本共産党について二箇所触れている。
一つは[「ルールある資本主義」や「よりましな資本主義」の主張にとどまるのでなく、資本主義自体の問題性と限界を明らかにし、資本主義に代わる社会主義のビジョンを積極的に提示してゆくべきである。]という部分であるが日本共産党がまさに今、努力している事だろうと思います。これは紅林さんの激励的提起だと思います。
もう一つは2004年の第23回党大会で「ゴータ綱領批判」の社会主義社会では「能力に応じて働き、労働に応じて受け取る」共産主義社会では「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」とされているとされる分配原則を削った事である。
不破氏はその大会でこう発言している。
「第一点。生産物の分配方式――まず「労働におうじて」の分配、ついで「必要におうじて」の分配、こういう形で生産物の分配方式のちがいによって未来社会そのものを二つの段階に区別するという考えは、レーニンの解釈であって、マルクスのものではありません。マルクスは、「ゴータ綱領批判」のなかで、未来社会のあり方を分配問題を中心において論じる考え方を、きびしく戒めています。」
第ニ点はマルクスは未来の青写真主義的なやり方は、いましめた事。
第三点はマルクスが重視したのは分配問題ではなく、生産様式をどう変革するか「生産手段の社会化」という問題だったという事。
そして第四点はこうです。
「マルクス、エンゲルスが、その未来社会論で、社会発展の主要な内容としたのは、人間の自由な生活と人間的な能力の全面的な発展への努力、社会全体の科学的、技術的、文化的、精神的な躍進でありました。」
「ゴータ綱領批判」の中ではレーニンの定式化したというテーゼは出てこない。
いつの間にか定式化されいつの間にかテーゼになったものだろう。
紅林氏の指摘について今後検討したい。
中身には触れないが私が興味を持ったそれ以外の論考のタイトルは以下である。
・ベーシックインカムと資本主義、社会主義
・<生活カード制>の意義と懸念
・マルクス主義の民族理論・民族政策
・民意を忠実に反映する選挙制度を!
・上田哲の小選挙区制意見裁判闘争
紅林さんをチューターとして「私が東京を変える」の3年に及ぶ資本論の勉強会が今月終了した。氏の貢献に感謝すると共にこの本が広く読まれ議論が起こる事を望みます。
2017年12月23日
大津留公彦
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