赤塚堯歌集「仙人掌の話」を読んで
赤塚堯歌集「仙人掌の話」を読んで
十首選とコメントです。
p53 反原発の書名簿添えてフランスの美帆シボさんよりメール届けり
★原発の行方は日本とフランスにかかってますね。
p53 あいまいな日本のあいまいな一人になってはならず声たかく脱原発叫ぶ
★川端康成氏の「美しい日本の私」を意識して大江健三郎は、「あいまいな日本の私」という本を書いた。
「原発」にあいまいはない。
p75 不器用で枉げるを知らず生きてきし愚直もよろし仙人掌の花
★サボテンと読むことを知らずにこの歌の「愚直」を頂いたがこの歌はこの歌集の題になっており作者はこの愚直をこの歌集で言いたかったのだろう。
p99アレッポの石鹸愛用していたり入手困難となりて久しき
★ アレッポの石鹸とは
「オリーブオイルとローレルオイルで作られたシンプルな石鹸」で千年以上前から作られている特産品だそうです。
シリアの窮状に心を寄せています。
p124 庭先に埋めし球根を掘りかえすわが愛犬はのどかなりけり
★犬との暮らし振りが沢山読まれてます。犬が生きる支えになっている例は多いです。
p139 二十年まえサルトル ボーボワールの墓たずね語り合いたりパリの夕暮れ
★きっとサルトルと ボーボワールのようなご夫婦なんでしょう。
p158 批判され怒鳴りて妻をやり返すもっとも醜きわれが顕ちくる
★赤塚さんが激昂するのを見た事がありません。この自己反省に精神が人を寄せ付けるのだと思います。
p164 型破りの大統領を生みし国の複雑骨折のごとき社会のゆがみ
★日本もアメリカも「複雑骨折」してますね。直す医者も大変ですが患者の自覚が最も大事です。
p178 診断の結果を妻に知らせたり弾んだ話になるはずはない
★「弾んだ話」ではないだろうがちゃんとお二人に問題として話し合われているのでしょう。
p186 肝炎の患者会運動に三十年よくもまあ続けてきたものだ
★お疲れ様でした。
まだまだ人生はこれからです。上を向いて歩きましょう。
以上十首を選びました。
あとがきによると赤塚さんは現在79歳で「下垂体腺腫」と「髄膜腫」という病気の治療中のようですがどちらもさいわい良性という事で経過観察中だそうです。
肝炎患者会の全国組織の理事長を経験し、現在日本歌人協会の財政部長という重責を担っています。
これからも新日本歌人協会に貢献頂く事を期待し、更に良い歌を沢山発表頂く事と次の歌集に期待します。
2018年3月31日
大津留公彦
以上です。
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