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2018年10月29日 (月)

石井正枝歌集「石仏紀行」を読んだ

石井正枝歌集「石仏紀行」を読んだ
この歌集は石井正枝さんの第十六歌集だという。
第十四歌集第「老いたれど」では滝を読み、第十五歌集「思い出の山」では山をよみ、今回は石仏を読んだという。半分くらいは石仏の歌で残りがそれ以外の歌です。
石仏紀行の歌集というのは珍しいと思う。

石仏はなじみがあまりないので私の知っている石仏は少なかったが、我が大分県の石仏の歌があった。
国東の石仏という項にこの三首があった。
  多きかり七メートルの磨崖仏おおらかに笑みて剣を構える
螺髪見事苦み走った顔にして大日如来は虚空を睨む
 顔と剣のみ熊野磨崖仏大きかり体躯は薄くおぼろげにして
臼杵の石仏という項にこの二首があった。
  はるばると大分に行けり臼杵には日本第一の石仏並ぶ
  古園は落ちし頭部を中心に崩れかけたる石仏並ぶ
臼杵には小学校の社会見学で行っただけですが、臼杵の頭部だけの石仏の迫力は残っています。国東の石仏は見たことがありません。いずれも観光案内に掲載したいような歌です。

新日本歌人の総会やセミナー、全国幹事会で箱根、伊豆、東京、広島、岡山に行かれたときにも石仏を見に行かれたという。
箱根、伊豆、東京の会議では私もご一緒しているのではないかと思います。
こういう旅行の仕方は私もいずれは目指す所です。

石井さんはあとがきで正岡子規のこの歌を引用しています。
 いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春行かむとす
そして石井さんは「子規は三十五歳で死んだが、私は来年も見るかもしれないと思った。それで、」としてこの歌を書いている
  鳶初の白きくっきり咲きにけり来年も見よう八十六歳
石井さんは子規の二倍半の生を生きている。
是非三倍の生を生きて頂きたい。
又新日本歌人の行事でお目にかかりましょう。  2018年10月29日 大津留公彦


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2017年の大津留公彦の俳句
白木槿
「歌碑のある風景」を紹介します。
私も三郷市の万葉歌碑を紹介しています。