« アベロ4 | トップページ | 大津留公彦の新日本歌人2018年12月号10首選 »

2018年12月22日 (土)

新日本歌人2018年7月号10首選

新日本歌人2018年7月号10首選 大津留公彦
p9 去年の今日夫が最後に行きしデモあの日と同じ場所に娘は立つ
鹿児島 児玉惠智子
★ 亡くなったおとうさんを偲び父と同じ場所のデモに娘は参加しそれを妻は応援する。こういう親子夫婦関係は素晴らしいと思います。
p30 句の中に動詞はせめてふたつまで愛した人はひとりだけです
福岡 田村柚
★ うまいですね。且つ若いですね。歌の中に動詞は二つまでですね。
この歌に歌論を教えて頂きました。
p31 お子さんがいらっしゃるから帰りなと言ってるわりには見て見ぬふりをする
徳島 十川朋美
★ 労働の歌が少なくなっている新日本歌人に労働の現場を歌う若い作者が登場した。ネット歌壇に投稿頂いて会員になってからの初投稿です。期待しています。
p38 描きかけの絵にも似たりし山桜 虚無のひとつがぽっかり浮かぶ
熊本 大畑靖夫
★ 一連の叙景歌の言葉の巧みさに感心した。山桜と虚無の間を空けるのは当然でしょう。
p52 啄木祭の三郷を訪いたり街路樹の白きハナミズキ溢れる町なり
東京 中山洋子
★ 三郷啄木祭が歌に登場した。確かに三郷啄木祭の頃はハナミズキが満開でした。会場の近くの早稲田公園には遅咲き八重桜も咲いていました。
p55 嫁ぎ行く相手の顔もしらぬまま母は父との縁紡ぎたり
東京 兵頭喜美代
★ 我が母も最初に父と会ったときは人が多くてどの人か分からなかったと言っていた。二度目に会ったのは結婚式の時だったそうです。今は昔ですが。
この方もネット歌壇からの入会者です。
58 笑顔映ゆる栞の表紙薄萌黄檜葉奈穂さんの偲ぶ会 春雨
北海道 道 真理
★ ワンスペース空けて 春雨というのはいいですね。
檜葉奈穂さん お世話になりました。結局機会はあったのに入会して頂いた時の一度しかお目にかかれませんでした。不義理をお許し下さい。安らかにお眠り下さい。
p68 政治に疎遠にされ/種子法が前のめりしてきた/過疎に消される家
京都 井口牧羊
★ TPPについての怒りを歌ってきた農家の井口さんが種子法復活を願って歌っている。
p78 震災の「語り部となる」と老いは言う家族みな失いし仮設の部屋に
東京 石川靖子
★広島・長崎に語り部がいるように関西・東北・中九州にも震災の語り部がいる。以上

(私も書いています)


ーー
2017年の大津留公彦の俳句
白木槿
「歌碑のある風景」を紹介します。
私も三郷市の万葉歌碑を紹介しています。