佐藤光良さんの「父のこけし」を読んだ
佐藤光良さんの「父のこけし」を読んだ
中には掌編小説が五つあります。
「父のこけし」「初挽き」「遺作」「肩車」「(さいかち)坂」
いずれも佐藤光良さんの父との関係を書いて居る自伝的な小説です。
一つながりの小説のようだが夫々別々の掌編小説として書かれています。
夫々がタイトルの示すように父の残したこけしの由来を辿るものであり、それを継いだ弟さんの始めてのこけし作りに関わるものであり、父にして貰ったと思われる肩車の記憶であり、坂にまつわるある一日の記憶です。
ゆえあって父のこけしを売りに出す
これは「遺作」のゆくえという作者の佐藤光良さんのあとがきのタイトルです。
こういう小見出しもあります。
取り戻すと力んでみてもすべはなく
いずれも五七五になっております。
「遺作」というタイトルは話の中身と「ひとつらなり」で父の遺作のこけしを売りに出すという自分の体験に基づく小説です。
タイトルは主題と付かず離れずがいいと私は嘗て民主文学の文学学校で習った事があります。
そういう意味ではこの五つのタイトルは主題を想像させるが主題そのままではないといういいタイトルだと思います。
「(さいかち)坂」のみは父及び家族がテーマでありませんが単独の掌編小説の作りになっています。お茶の水・神田・神保町辺りが舞台で私はその辺をよく知っているので興味を持って読みました。
実はこの本の感想文は亡くなった佐藤光良さんの奥様で新日本歌人我孫子支部・湖畔短歌会で一緒させて頂いている歌の友である佐藤ゆきこさんの本をひょんなことでお借りして読ませて頂いたことによります。
実は物語の舞台である福島県平市を歌の友皆で秋に訪問する計画もあります。
この本を読み、弥治郎系伝統こけしと佐藤光良さんの故郷に触れてみたい思いで一杯になっています。
2019年1月16日 大津留公彦
(私も書いています)
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2017年の大津留公彦の俳句
白木槿
「歌碑のある風景」を紹介します。
私も三郷市の万葉歌碑を紹介しています。
短歌は新日本歌人
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