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2019年1月16日 (水)

新日本歌人2019年1月号10首選 大津留公彦

新日本歌人2019年1月号10首選 大津留公彦

p21 安倍首相は“社会保障の充実を”わが診察券は十枚こえる
東京 秋元勇
★「わが診察券は十枚こえる」が訴えてますね。
p33 県立大学が焼却処分したる数多の中にまさかの『万葉集古義』
高知 梶田順子
★まさかですね。図書館の収納スペースが足りない事と文系学部軽視の流れへのカウンターですね。
p44 さわりある児は福と呼ぶとて慈しむそんな時代の有りしこの国
静岡 松浦直巳
★そういう話は昔ありましたね。そういう国に戻したいですね。
p49 前を向く女の歌を女は書き男はふられた女の歌書く 
東京 曹吉江
★ 面白いですね。女は男らしく、男は女々しい。
これから男女の形容詞は逆にしなければならないかも。
p51 われこそはわれこそはとアピールの世に茶の花はひっそりと咲けり
大阪 武野フミ
★茶の花のひっそりさを大事にする世間でありたい。
特選 p53 奥津城に逆さ睫毛の曼玉沙華 母さんそちらも今秋ですか
大阪 辻井靖祐
★「母さんそちらも今秋ですか」に参りました。最初に読んだ時から特選です。
p53 空っぽのお弁当箱を持ち帰ることだけ母は願うばかりで
徳島 十川朋美
★小さいお子さんをお持ちのお母さんの小さいけど大きな願いですね。
p60 われを殴るを仕事となせし教師ら皆、
鬼籍に入れど
後釜がいる。
神奈川 上原章三
★「後釜」がのさばる世の中は変えなければない。歴史はきっと復元力を示すでしょう。
p70 真夜中の作業着洗う洗濯機コオロギの声沈めて回る
徳島 花野二美
★「作業着洗う洗濯機」が「コオロギの声」を沈めるという対比が良いですね。静めるか?
p71 長かりし透析人生歩みたる兄の黄泉路を照らす月かな
東京 兵頭喜美代
★「黄泉路を照らす月」はきっとお兄さんの足元を照らしていることでしょう。
以上です。

(私も書いています)


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2017年の大津留公彦の俳句
白木槿
「歌碑のある風景」を紹介します。
私も三郷市の万葉歌碑を紹介しています。