「角兵衛獅子の唄」を読んだ
「角兵衛獅子の唄」を読んだ
この本は江戸中期の新潟月潟村の子ども獅子「角兵衛獅子」の物語である。
私は知らなかったが周りの人に聞いてみるとある程度の年齢以上の方には美空ひばりの「越後獅子」でかなり知られているようだ。
洪水や、親の死や、親との別れ等それぞれ事情があって孤児となり「角兵衛獅子」となった16人の子どもたちの物語である。
印象に残ったシーンを挙げると
- 万吉と卯七と清二が盗みを巡って喧嘩した上で仲良くなったシーン(p56)
- 渡辺屋敷での卯七と一歳のときに捨ててきた母おいねとの再開のシーン(p90)
- いとの姉ちよとの佐渡島の遊郭での再開のシーン(p78)
- 蝦夷地から出雲崎までの海路を取ったが漂流するシーン(p248から)
- 清国・海南島にたどり着き雑技と角兵衛獅子の交流が行われるシーン(p292から) いつかはこの角兵衛獅子を見に行きたいと思っています。
私はこの本の作者の玄間太郎さんとは地域の友人である。
途中別の本も書かれたのでこの本は構想からは4-5年経っていると思う。この本を書いている期間にもそのストーリーの展開を随時聞いていた。この本の巻末には53冊にも及ぶ参考文献が並んでいる。作者らしくいかに準備を抜かりなく行ったかを現しているYoutubeで「角兵衛獅子保存会」の映像を見たのでこの本に何度も出てくる青海波や蟹の横ばいという角兵衛獅子の演技がよくわかった。いずれもドラマティックであり映画化に向いていると思った。この本は著者にとっては8冊目の本であるがまだ70代半ばである。 更なる取材と執筆を重ね是非次なる作品を読ませて頂きたい。2019年8月16日 大津留公彦
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