新日本歌人2020年5月号 大津留公彦10首選
新日本歌人2020年5月号 大津留公彦10首選
p2 風ひきて雑炊の椀手に夫と向かい合いありサファイア婚に 京都 芦田幸恵
★ 我が夫婦も三月にサファイア婚(結婚45周年)を迎えた。まずは配偶者が居ることに感謝しよう。
p24 八十代は里士さん流に生きたしや 短歌詠み花愛で社会見つめて 神奈川 小林加津美
★ 絵本作家の故かこさとしさんの生き方を見習い、短歌・花・社会を見つめるという意気込みや良し。
p24 水と風、大地と緑のこの星にあなたはいない一年前から 東京 小林京子
★ この星の素晴らしさもあなたが居なくなって一年間輝かない。
p27 家があり借金がないそれで良しあと何年かの夫との残生 東京 杉原日出子
★ 期限のある「夫との残生」を慈しみましょう。
p28 「這えば立て、立てば・・・」と歩み幾星霜重ねて人は人たるを遂ぐ 大阪 高島嘉巳
★ 人間は「這えば立て、」と言われて育ち、「這えば立て、」と言って育て、「人たるを遂ぐ」
p37 触れおれば呼吸和らぐ思いして妻の手の甲を撫で続けたり 大阪 武田俊郎
★ 妻の手を触っていればおそらく本当に妻の呼吸が和らぐのでしょう。労わってあげて下さい。
p37 待ちかんてぃ(※)ー我が入会を喜びて温き文寄せし庸全さん逝く(※待ちかねる)沖縄 比嘉愛子
★ 比嘉さんの入会で沖縄に新日本歌人の灯火が残った。仲松庸全さん有難うございました。お疲れ様でした。
p39 田中礼、田中収を
並べて論じしことありき。
礼氏は 手をあげ 身をくねらせて
何かを言った。 長野 上原章三
★ 私も田中礼さんにも田中収さんにもお世話になった。何を言ったか気になるが、この歌が残った事で十分。
p41 お兄ちゃんと言われる度に三歳は「おにいさんだから」と口を尖らす 埼玉 谷口澄江
★ 可愛い「おにいさん」ですね。お婆ちゃんの満面の笑みが浮かびます。我が家にも新しい孫が出来ました。p48 一万筆に市長も驚き決断す十八歳までの医療費無料に 愛知 半谷弘男
★ 他にも五十筆が歯科医師が集めてくれた等の歌があり、こうして世の中は良くなって行くと思いました。
先月も書きましたがコロナウイルスでこの世は一気に塗り替えられました。
コロナ後の新しい短歌の運動も模索すべきでしょう。
大阪では新日本歌人を守る運動が旺盛に取り組まれているという。
私たちも負けずに会員・購読者の拡大をしましょう。
比較的時間のある今こそ「新日本歌人」をよく読みましょう。そして選歌を行いましょう。
先月と同じことを書きます。
コロナ・これをいま歌わないで何を詠うだろうか。
歌人は全身全霊で今の時代に向き合わなければならないと思う。
2020年5月13日 大津留公彦
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