「なぜ日本のジャーナズムは崩壊したのか」を読んだ
「なぜ日本のジャーナズムは崩壊したのか」
を読んだ。
昨日の「新聞記者」に続いて、望月衣塑子さんの佐高信さんとの対談本です。
佐高さんのあとがきによると、望月さんの好きな作家はアルベール・カミュで、好きな映画は「灰とダイアモンド」だという。
非常に渋い選択だがここには早くに亡くなったご両親の面影を見る。
望月さんは私の娘と二つ違いであり、佐高さんと私は七つ違いである。
まるで私と娘との対談のようである。
子の親への目線と、親の子への目線を感じた。
娘とこういう話はしたことはないが、是非話してみたいと思った本であった。
去年の6月に出た本で、私のよく見ているYouTube「choose life project」が立ち上がったという所で終わっている。
<佐高信 あとがき>より
衣塑子という珍しい名前は萩原朔太郎に関係があるらしい。「帰郷」と題する萩原の詩はこう始まる。
我が故郷に帰れる日
記者は烈風の中を突き行けり。
ひとり車窓に目醒めむれば
汽笛は闇に吠え叫び
火焔は平野を明るくせり
まだ上州の山は見えずや。
私はこの一節を何度口ずさんだかわからない。
最後に、望月に能村登四郎のこんな句を送ろうか。
幾人か敵あるもよし鳥かぶと
<望月衣塑子 あとがき>より
「内閣記者会は世間からも見放されつつある。オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう。
ジャーナリズムが政治や社会の実相に近づき、真実を伝えていくには、何ができるのだろうか。異色の官僚やメディアで活躍した先陣たちとの対話を重ねてきた佐高さんの話は、示唆に富み、ジャーナリストとしての基本の姿勢について、考えさせられることだらけだった。読者の方々にとっても、本書が少しでも、これからの日本の政治や社会、官僚やメディアのありようを考える一助となっていただければ、うれしい」
以上です。
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