全国一律比例代表制なら今回政権交代が起こっていた?
銀座のライオン
2021衆院選で共通政策を持った4党(立憲民主・共産・社民・れいわ)の合計票は1887万票で自民の1991万票とほぼ等しい
政策的に近かった国民民主党も入れると2146万票で自民党を上回る
したがって全国一律比例代表制であれば自民党は少数政党になっていた。
但し全国一律比例代表制なら今回政権交代が起こっていたかというと公明党というつっかえ棒がいるのでそれを足すと2702万票となり野党はやはり追いつかないことになる。
しかしもっとすっきりした野党共闘体制が出来れていればこれ位の差をひっくり返すような風が野党に吹いただろう。
自民党の相対得票率は34.7%だが、絶対投票率は19%でしかない。
2割以下しか得票を得てない政党が2012年以来政権党であり続けている。
小選挙区制と制度のおかげで自民党は生き延びている。
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夜明け前の独り言 弁護士 水口洋介
2021年総選挙に思う 衆院比例区の分析から引用する
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■実は比例区では負けてない立憲民主党
上記表を見れば、立憲民主党は、2018年総選挙よりも、比例区は得票数・率とも増えている(20%で1149万票)。国民民主党も4.5%で259万票を獲得している。
立民・国民両党の合計では、24.5%で1406万票であり、民主党下野後の最高得票なのである。(2009年の民主党の42.4%、2984万票が特別の異常値だった)。
共産党は7.2%、416万人で実はずっと変わりがない。社民党も長期低空飛行で傾向が変わらず(今回よくもったというのが正直な感想)。そして、立民+国民+共産+社民を合計すると33.5%と1925万票で、今回の自民党比例票に匹敵する。これに「れいわ」が合流すれば逆転である。もっとも、そうなれば、自公に維新がつくだろう。
■立憲民主党は小選挙区でなぜ負けたのか(勝てなかったのか)
では立憲民主党は、小選挙区で共産党と議席調整したにもかかわらず、なぜ勝てなかったのか。
共産党との共闘の結果だ(中道や保守系が離反した)との説がある。
しかし、立憲民主党は、前回と比較して、比例区の得票率も得票数もわずかだが増えている。もし、共産党との共闘が嫌われたのであれば、比例票も国民民主党にもっと流れたはずである。国民民主党の比例票はおそらく前回希望の党を支持した層から来たものと推定できる。維新に投票する人の多数派はもともと反労組(特に強固な「反官公労」)の立場なので、立憲民主党にはいれないだろう。
したがって、データ上は「共産共闘敗因説」は成り立たないのではないか。少なくとも大きな要因ではないだろう。
今回は維新が比例区で14%、805万票を獲得した。前回2017年総選挙では6.1%、338万であったので躍進である。ただし、前回2017年は希望の党があり、17.4%で967万票を獲得しておりそのあおりで減らした(だから新党ブームのあだ花だと東京にいる私は思っていた)。前々回の2014年総選挙では維新は15.7%で832万票だから、希望の党が消滅したため、もとにもどったともいえる。
維新は、大阪を中心に近畿で小選挙区で躍進し、全国各地でも小選挙区で存在感を示し、比例区票も獲得した。この政党は、自力をつけた。もはや新党ブームのあだ花でなく、今後も有力政党になるであろう(私個人では、およそ賛成できない政策・体質だが、それはそれとして)。
立憲民主党が小選挙区で勝ちきれなかったのは、維新の躍進・復調に足下をすくわれたと言えるのではないか。
「れいわ」も、3.9%と221万票と健闘した。これも前回に希望の党に投票した人が、清新さを求めて、「れいわ」に投票した方が多かったのではないか。
前回希望の党にいれた17.4%の有権者の8%が維新に、4%が「れいわ」に、3.9%が国民民主党に投票したにではないか。その意味で立憲民主党は、希望の党にいれた中道右派層を獲得できなかったといえよう。この点で維新とのたたかいに破れたのではないかと思う。
こう考えると、立憲民主党は、維新や「れいわ」に比較して、新鮮さや清冽さ、党首の魅力、政策がリベラル岩盤層向けの規範主義的理想論(優等生的・学校的あるべき論)を並べ立てて現実の生活感覚から乖離したから、小選挙区で勝ちきれなかったと個人的に思う。言い換えれば、構造的な原因や共闘路線の失敗ではない。
立憲民主党の戦略的なパフォーマンスと政策提言の向上で勝機はあると思える。来年の参議院選挙までに立て直せるか?
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立憲民主党の誰が党首になろうと幹事長になろうと野党共闘路線を継続し強めていかなければ日本の歴史を変える存在にならないだろう。
以上です。
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