大門実紀史さんの最新本「やさしく強い経済学」を読みました。
大門実紀史さんの最新本「やさしく強い経済学」を読みました。
多くは今まで見聞きしたことでしたが体系的に整理されていたので体系的に理解出来ました。
私が付箋を貼ったところを演説に使えるように箇条書きで紹介します。
1,1980年には実体経済と金融資産の額はほぼ同じでしたが、80年代以降は金融資産が急膨張し、リーマン・ショック前の2007年には金融資産が実体経済の3.5倍強に達しました。
2,新自由主義の4つのウソ
- 企業の利益が増えればいずれ国民に分配される。
(岸田首相が「成長から分配へ」と言っているのはトリクルダウンを日本語にしただけ)
- 市場原理に任せておけばすべてうまくいく
- 税のフラット化、累進課税から税率一律にし、大企業減税進めれば経済が活性化する
- 「多様な働き方が経済を活性化し、人々のニーズにこたえる」
3,日本は成長できない国になった
名目成長率 米国 3.65%、英国1.48% 日本0.06%
実質賃金伸び率 米国1.41倍、英国1.48倍、日本1.05倍
4,共産党の内部留保課税案の三つの効果
- 行き過ぎた大企業優遇の現在を一部取り戻す
- 賃上げ分は課税対象から外すので賃上げ促進効果がある
- 国内設備投資額を課税対象から外すので「グリーン投資」を促進する
(この間の不公平な減税が内部留保の原因であり減税し過ぎた分を返させるもので「二重課税」には当たらない。消費税こそ我が国最大の「二重課税」
5,格差是正こそ経済成長につながる
岸田首相は「新自由主義は経済成長をもたらしたが弊害もあった」というがそれは違う。
経済成長に寄与するどころか格差を広げ成長の足を引っ張ってきた。だから日本はこの20年成長できない国になった。新自由主義に弊害がったというより、新自由主義そのものが弊害だった。
6,所得1億円を超えると所得税の負担率が下がる
株式譲渡所得(キャピタルゲイン)への税率が一律20%(所得税15%、住民税5%)
給与所得や事業所得が最高45%課税されるのと大違い。
富裕層は株式譲渡所得が所得の多くを占めているため。
7,「富裕税」を創設せよ
純資産が5億円を超える部分に対して0.5~3%程度の範囲で累進課税する。
対象は千人に一人の富裕層
8,消費税を減税せよ
33年の合計で消費税分は法人税現在にほぼ等しい
消費税税収は476兆円
法人3税は324兆円減+所得税・住民税289兆円減=513兆円減
9,消費税減税は世界の流れ
コロナ禍と物価高の中世界81か国で現在している。
- 国民生活支援
- 中小企業・事業者支援
10、インボイスなんかいらない
インボイス制度導入の最大のねらいは更なる消費税増税への布石
複数税率のもと正確に消費税額を把握するためというが欧米と違い二段階しかないので従来の仕入れ税額控除で十分計算できる。
11,賃上げと社会保障が日本を救う
最低賃金1500円で月21万円になり一定の生活水準が確保出来る
同時に中小企業を支援する
米国では最低賃金を41%上げ540万人の賃上げを行い8800億円の中小企業を支援した。
OECD中14位で韓国より低い
米国はバイデン政権で時給15ドルになりドイツのショルツ政権は年内に1580円にする。
12,社会保障の充実が日本を救う
経済成長率と税と社会保険料の国民負担率の間に相関関係はない
経済波及効果という点でも社会保障は優れている。
・・
ジェンダー平等やデジタル社会論や教育改革にも見るべきものがありますがこの位にしておきます。
ひらがなが非常に多く、安倍晋三の名前などにフリガナが付いているのに驚きましたが読みやすくする配慮なのでしょう。
全体的に非常に平易です。
深い内容を読みやすくしてくれています。
著者の前書きから紹介して終わります。
「新自由主義が閉塞感のただよう時代にしてしまいました。しかし、たたかいは絶望からはうまれません。希望からうまれます。本書が希望を見出す一助となり、現場のたたかいを少しでも勇気づけるものになれば幸いです。
2022年5月 大門実紀史」
以上です。
参考 路上のラジオ
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