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2022年9月 6日 (火)

「卒寿をこえて」(寺島萬利里子歌集)を読んだ

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卒寿をこえて」(寺島萬利里子歌集)を読んだ

著者は今年11月に96歳を迎える。

既に他界した私の母より2歳年上となる。

寺島さんの人生に母の人生をなぞり重ねて思いながらこの歌集を読んだ。

境遇は違えども母もコスモスで短歌をやっていたので今も元気であればこういう歌を作ったのだろうと思った。

この歌集のあとがきの前に「水野昌雄先生を偲んで」という一文があった。

この歌集は鳩ヶ谷短歌愛会でお世話になった水野さんの2020年末の「そろそろまとめよう」という言葉に応えて作られている。今年の5月の命日には霊前に捧げられたことでしょう。

 

私も水野さんにはお世話になっています。

朝日新聞を見て参加した1975年の労音会館で行われた啄木祭に参加したあと、「お茶でも飲みませんか」と声を変えられて喫茶店で話をした。

コスモス短歌会に入っていることと碓田のぼるさんに青年誌上でお世話になっていたのでその話をしました。その後一冊の本が送られてきました。「短歌の旅と風土」という本で碓田のぼる・水野昌雄共著とあった。水野さんのことは全く知らなかったのでそういう人なのだと驚いた。その本の中に「是非新日本歌人の会員になって歌を出して下さい」というしおりが挟まれていた。

早速会員になり、何年かコスモスと新日本歌人の両方に歌を投稿していたがその後は新日本歌人のみとなり現在に続いている。

水野さんのおかげで74年間新日本歌人の会員であることが続いている。

新日本歌人我孫子支部に来て頂いて話をして頂いたり、歌人九条の会の講演を聞いたり、三郷啄木祭で「子規と啄木」の話をして頂いたりし、いずれも映像が残っている。

 

水野さんの思い出話ばかりになりました。

「卒寿をこえて」の中で付箋を付けた十首を紹介して終わります。

 先短き老なれば今こそ叫ぶべし命の限り戦争反対

 一人では出来ぬ経験さまざまにこの会に来て知りしこと多し(鳩ヶ谷短歌愛会)

大正の終りに生まれ昭和・平成・令和へと四元号を我は生きつぐ

定年後写真・短歌と学び来ていつ終わるとも人生悔いなし

 歳ふれば劣化してゆくさだめにてふさわしい生き方するがよろしき

 身の老いを嘆くとき思う八坂さんの「平和を守る一票がある」の歌

十一月二十四日は九十四歳の誕生日なり激動の昭和を生ききてわれあり

いつ死すも悔いなき生と思いおりその時々に生きがいがある

夫逝きすでに八年ほほえめる写真は常に我を見守る

以上です。九十五歳でこういう歌を作りたいものだと思います。大津留公彦

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